ちょっとした眼の不調――
もしかして、ドライアイ?

ドライアイ(角膜乾燥症、乾性角結膜炎)とは、様々な要因により涙や粘膜に起こる慢性疾患のこと。
ある調査によれば、オフィスワーカーの約3割、またコンタクトレンズ使用者の約4割がドライアイだと言われています。

右の「ドライアイ・チェック」のうち、5項目以上当てはまる方はドライアイである可能性が高いといえます。 下の「ドライアイ・チェック」のうち、5項目以上当てはまる方はドライアイである可能性が高いといえます。

はじめはちょっとした症状であることも多いドライアイ。放置すると別の病気に罹る恐れもありますので、なるべく眼科の診察を受けるようにしましょう。

ドライアイについて

ドライアイは大きく分けると、涙液の分泌量が減少する涙液分泌減少型ドライアイと、
主にパソコン、コンタクトレンズなどの環境要因によって起こる涙液蒸発亢進型ドライアイがあります。
さらに最近は、上記2つのドライアイとは異なるタイプの「BUT(Breakup time;涙液層破壊時間)短縮型ドライアイ」に注目が集まっています。
今までの診察では発見されにくいタイプのドライアイです。

これまでのドライアイ治療薬は、保湿作用を主としていましたが、2010年10月、水分と共に、角膜を覆うムチンの分泌を促す新薬が登場しました。
ムチン層が増えることで涙液が安定化し、眼表面に保持される力が高まります。
これまでの薬物療法では症状が改善しなかったような患者様への効果が期待されています。

目が疲れる、しょぼしょぼする、ごろごろする、夕方に見えにくいなどの症状が現れた場合は、一度検査を受ける事をお薦めします。
他にも、涙を溜めるプラグなどの治療法もあります。

涙のはたらき

目はまぶたと涙によって守られています。
まぶたによるまばたきが、涙の分泌刺激となり涙を出させたり、目の表面に涙を均一に分布させます。

涙には、
①目の表面をバイ菌・異物から守る 
②角膜に酸素・栄養を運ぶ
③ゴミ・ホコリを洗い流す
という役割のほか、
④目の表面を滑らかな状態にして「ものをきれいに見る」動きを支えています。

涙の構造

涙は油層、水層、ムチン層の3 つの層からなり、まばたきによって眼の表面にベールのような網目状の膜をつくっていますが、
涙の働きが低下すると、まばたきしてもこの膜を修復できず、保護してくれるはずのベールは穴だらけのままになり、眼に傷ができる原因にもなります。

油層:
涙の一番表面にあるのが油層です。
涙液中の水分が蒸発するのを防ぐ役目があり、マイボーム腺から分泌される油膜が成分となります。
水層:
主に涙腺から分泌される涙の主成分で、95%が水分です。
目を潤す役目の他、含まれている免疫タンパクなどが眼を菌から守る役割も果たしています。
ムチン層:
粘着質なので、水をはじく性質のある角膜上に涙液を安定させる接着剤の役目と瞬きの際に涙液を全体に拡散させる役目があります。
糖たんぱく質のムチンが主成分で結膜上皮細胞の杯細胞から分泌されています。

涙の分泌と排出

涙腺:
涙腺は涙液の分泌をしています。主涙腺と副涙腺があり、主に水層の分泌をします。
そのほか、結膜粘液細胞から粘液層が分泌され、まぶたの中にある瞼板腺腺(マイボーム腺)から脂肪層が分泌されます。
涙道:
涙道は涙液を排出するところです。内眼角部(目がしら)に涙点と呼ばれる穴があり、まばたきによるポンプ作用で涙液はここから涙嚢、鼻涙管を通って鼻腔へ排出されます。
涙点:
上下まぶたの鼻側の内縁にある涙液の流出口です。
涙小管:
涙道の一部で、涙点から続き、涙嚢(るいのう)に開く細い管です。
涙嚢:
涙道の一部で、鼻の付け根あたりにあり、涙小管から流れてきた涙液が集まる袋状の部分です。
鼻涙管:
内眼角(目がしら)の深部にあって、涙嚢から下方に進み上顎骨の中を通って鼻腔の下鼻道に開く管のことです。
内面は鼻粘膜の続きでおおわれている、涙器の一部で涙の正常な通路です。
したがって泣くと鼻水が出ることとなり、炎症などでこの管が閉塞(へいそく)すると流涙が激しくなります。
内眼角:
「目がしら」と呼ばれている部分です。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。

池袋サンシャイン通り眼科診療所の専門医紹介

院長堀 好子(日本眼科学会認定 眼科専門医 医学博士)

堀医師
所属学会
日本眼科学会会員、日本眼科医会会員、日本角膜学会、 日本眼科手術学会、日本眼内レンズ屈折手術学会
経歴

昭和61年 岩手医科医学部 卒
平成2年 岩手医科大学大学院 卒

平成3年 岩手県立大船渡病院 眼科医長
平成5年 岩手医科大学眼科助手
平成5年 ハーバード大学スケペンス眼研究所勤務
平成9年1月 東京歯科大学眼科勤務
平成9年6月 南青山アイクリニック勤務
平成20年 東京歯科大学市川総合病院勤務

 

平成22年4月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 管理医師就任

主な論文

The three-dimensional organization of collagen fibrils in the human cornea and sclera.(旧姓Komai)

常勤新川 恭浩(日本眼科学会認定 眼科専門医)

新川医師
所属学会
日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会
経歴

平成13年 熊本大学医学部 卒
平成14年 京都大学医学部 眼科学教室入局
平成14年 島田市立島田市民病院 勤務
平成20年 高松赤十字病院 勤務
平成22年 公益財団法人田附興風会 北野病院 勤務
平成26年10月~ 池袋サンシャイン通り眼科診療所 勤務

非常勤鴨居 瑞加(日本眼科学会認定 眼科専門医)

経歴

2000年3月 東海大学医学部卒
2000年4月 慶応義塾大学医学部眼科学教室
2002年4月 国立埼玉病院眼科
2003年10月 慶応義塾大学医学部附属病院眼科
2004年10月 立川共済病院眼科
2007年1月 慶応義塾大学医学部附属病院眼科
2024年10月 池袋サンシャイン通り眼科診療所 非常勤医師就任 

主な論文

Spontaneous lacrimal punctal occlusion associated with ocular chronic graft-versus-host disease.

Electrolysis for corneal opacities in a young patient with superficial variant of granular corneal dystrophy (Reis-Bücklers corneal dystrophy).

Donor-recipient gender difference affects severity of dry eye after hematopoietic stem cell transplantation.

Accumulation of secretory vesicles in the lacrimal gland epithelia is related to non-Sjögren’s type dry eye in visual display terminal users.